大江戸シンデレラ
早速、美鶴は向かいの御家に赴いた。
手土産を持つおさとが、後ろから付き従う。
「武家の娘」が外出する際には、たとえ目と鼻の先の処であれ、女中が「供」として付き添うことになっている。
もしも、組屋敷などの武家屋敷より外に出るのであらば、女中だけではなく、さらに男の中間が付く。
千葉家の門の前に立ち、おさとが美鶴の代わりに訪いをする。
すると中間が出てきたため、おさとが本日参った所以を話すと、すぐに家の中へと招じられた。
中間と代わった女中によって、美鶴は屋敷内を案内されながら、島村の家とさほど変わらぬ広さと各々の部屋の配置だと思った。
武家屋敷とは、かようなものであるのだろう。
客間の座敷に通されて、供された茶を飲みつつ待っていると、やがて一人の老婆が姿を見せた。
御隠居・千葉 平兵衛が妻、刀根であった。