停留所で一休み
「どうせ一人で東京に行くのが、寂しいだけでしょ。」

「はっ?」

「だったら、さっきの女の子に頼めばいいじゃん。」


その瞬間、あいつの手が上がった。

咄嗟に目をつぶる私。

だが何も、自分の身には起こらない。

そっと目を開けると、小刻みに震えながら手を振りおろすのを我慢している、あいつがいた。


「もういい。分かった……」

「えっ?」

それだけを言うと、あいつは私の前から、離れて行ってしまった。

「はぁ……私も帰ろうか。」

家までの道のりを、ゆっくり歩いて帰った。

おかげで家に着いたのは、朝方だった。

「鍵開いてるかなぁ…」

玄関に手をかけてみると、意外と開いている。

「ええ~!いくら田舎だからって、無用心過ぎない?」
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