停留所で一休み
田舎で頑張っている妹や弟、親友、友達の、”羨ましい”という言葉が、心地よくで仕方がなかった。

だけど 今は何?

真帆ちゃんや和希ちゃんのように、いっそ相手の胸に飛びこんで、結婚することもできない。

弥生のように、恋に生きることもできない。

本村君のように、新天地を求めることもできない。

自分がちっぽけで、つまらない存在に感じた。


その時だった。

後ろから、私を呼ぶ声がした。

「出海。」

廊下を見ると、父親が釣りの道具を持っている。

「お父さん、釣りに行くの?」

「まあな。」

「遅くまで飲んでたんじゃないの?」

「今日はなぜか釣れる気がしてな。」

そう言って顔をポリポリ掻く父親が、逆に羨ましく思えた。
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