停留所で一休み
「出海も来るか?」

父からの、思いがけない誘いだった。

「行ってもいいの?」

「もちろん。おまえが嫌じゃなければな。」

私はコップを流しの中に入れると、父の側に歩み寄った。


「バスで行くけど、いいのか?」

「全然。」

私は父が持っていたクーラーボックスを、代わりに持った。

玄関へ行くと、一香が眠い目をこすりながら起きてきた。

「お父さん、釣り?」

「ああ。一香はまだ寝ててもいいぞ。」

「うん…」

半分寝ぼけている一香は、まだ私の存在に気づいてない。


「行ってくるな。」

「うん…」

「行ってくるよ。」

私は、寝ぼけている一香にわざと言う。

「うん……って、お姉ちゃん?」
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