停留所で一休み
見ると、その人達の手には、ガイドブックがあった。

「どれどれ?」

私は立ち上がって、ガイドブックを見てみる。

「ああ、この大きな道を真っ直ぐ行くと、二つに分かれる場所があるんで、そこを左に曲がって下さい。あとはそのまま道なりですよ。」

カップルは目を合わせると、にこっと笑顔になった。

「ありがとうございました。」

「いえ。」

二人は私に頭を下げると、車に戻って行った。

窓越しに女性が手を振ってくれたので、私も手を振った。

そして走って行く車を、私は見送った。

「ナンバープレート、東京のものだったな。」

父が言った。

「そうだね。」

私が静かに答えた。

「なんだ。東京が恋しくなったか?」
< 175 / 224 >

この作品をシェア

pagetop