停留所で一休み
「出海がこんなに実家へいるのは、初めてだからな。つい、もっといてくれればな、と思ってしまうのが、正直なところだ。」


お父さんは、子煩悩な父親だもんね。


「その一方で、おまえが行くのなら、笑って見送ってやろうと思っているのも事実だがな。」

私は腕を組んで、その中に顔をうずめた。


「出海。おまえは姉弟のなかでも、特に優秀だったからな。俺の自慢の子供だった。東京に行かせて言われた時も、なんとなく、そんな気はしていたんだ。」

そう。

お父さんは、私が東京の大学に行くことに、反対はしなかったもんね。


「テレビでスーツ姿の女が出てくると、出海もこんなふうに仕事をしているのかと、勝手に想像したりしてな。」
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