停留所で一休み
父は嬉しそうに、話をしている。

「キャリアウーマンって言うんだろ?今の流行りなんだってな。これからは、女も職を持つ時代だと言っていた。」

父は私を、キャリアウーマンだと思って疑わない。

「結婚しても母親になっても、仕事を続けていくのが出海の夢なんだろ?」

「夢?…」

「いつか語ってたじゃないか。別れた男の事だって、おまえの事だ。どうせロクなヤツじゃなかったんだろう?」

そう。

父は真っ直ぐに、私が言った事を信じてくれている。

なのに私は、私は……

「ねえ、お父さん。私、本当はキャリアウーマンなんかじゃないの……」

もうこれ以上、信じてくれている父を、裏切ることはできなかった

「仕事も、本当は辞めてきたの。」
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