停留所で一休み
父は何も言わずに、ただ黙っている。

「付き合っていた人の事もそう。振られたのは私なの。仕事のことばかり考えて、余裕失くして、飽きられちゃったんだ……」

私の瞳には、涙が貯まっていた。

「お父さん、私ね……」

私はただ、心の叫びを言葉にした。

「幸せになりたかった……ただそれだけだったの。」

何が幸せなのか、そんなのは分からない。


「もし、誰よりも先に、仕事で上へ上がる事が幸せなら……誰よりも先に、結婚して子供を産む事が幸せなら……」

私の瞼には、いつの間にか自分を追い越して行った、みんなの顔が浮かんでは消えて行った。

「私……どこかで道を間違えちゃったのかなぁ。」

私はもう、立ち上がることもできないでいた。
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