停留所で一休み
私は、これでもかというくらいの笑顔を見せた。

あいつに負けないくらいの、笑顔を浮かべた。


「敵わねえな、小形には。」

「えっ?」

私は久々に聞くその言葉に、頭の奥がくすぐったくなる。

「…好きだ。そういうおまえが…」

「えっ?」

私は、真顔で聞き返した。

「……聞こえなかったのか?」

「ごめん、何?」

あいつは大きく息を吸うと、今度は聞こえるように、大きな声で言った。


「おまえの事が好きだって、言ったんだよ。」


私の顔は、どんどん赤くなっていく。

「今度は聞こえたようだね、お嬢さん。」

聞こえたのはいいが、持っていたホースから、水がジャバジャバ流れて、私の周りは、だんだん水たまりになっていく。
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