停留所で一休み
今なら、素直に言えそうな気がする。

「部長。」

「ん?」

「いろいろと、ありがとうございました。」

「ああ。」

その一言が、私は何よりも嬉しかった。


そこへノックする音が聞こえた。

「はい。」

部長が返事をすると、隣の課長が入ってきた。

「部長、営業部の西村部長がお見えです。」

「ああ、今行く。」

部長は立ち上がると、後ろにあるハンガーから上着を取った。

「部長、それでは私はこれで…」

私が頭を下げて部屋を出ようとした時だ。

「おまえも来るか?小形。」

えっ?

部長達が会う席に自分も?


「いいんですか?」

「構わんさ。会わせたいヤツもいるし。」

「はい。」
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