停留所で一休み
「すみません。捨てるに捨てられなくて…」

私はこの時ばかりは、松下君に感謝した。

「偉い!!」

私は松下君の背中を、おもいっきり叩いた。

「痛い!!」

反り返っている松下君を置いて、私は名刺を持って、部長の元へと急ぐ。


「小形係長、パワー満タンだな。」

他の同僚が松下君を心配している。

「そうですね。でもあのくらいじゃないと、小形係長らしくないですよ。」

松下君の、応援にも似た呟きが、私の耳に届いた。


オフィスを出て、長い廊下の端に、応接室があった。

「準備はいいか?小形。」

「はい、部長。」

私の返事を聞くと、部長は応接室のドアを開く。

「お待たせしました。」
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