停留所で一休み
西村部長も、すかさず口を挟んでくる。

私は、恥ずかしそうにしているあいつを見た。


「私、名刺あげたっけ…」

「貰ったというか、俺が勝手に盗んだというか……」


ぬ、盗んだ?

いつの間に?


「おまえの名刺入れ、見せてもらった事があったろ?」

見せたっていうよりも、勝手に見られたと言った方が正しいかも。

「その時に、たまたま一枚だけ残ってたのを、拝借したんだ。」

拝借?

今、盗んだって言ったじゃん。

「もらっておいて正解。じゃなかったら、この会社も断ってた。」

にんまりする敬太に、私の意識は遠のく。


「こんなの聞いてない!!」

私は、不機嫌そうに呟いた。
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