ハイスペックなイケメン部長はオタク女子に夢中(完)
10.正直者
北見は笑ったまま
「良かった。普段と全然雰囲気違うから、確信なくて、もし違ったらどうしようかと思ったよ。」と言った。あやめは、それならしらばっくれれば良かった…と思いながら、
「はぁ、すみません。」と謝った。北見は
「謝ることないよ。ちょっと驚いただけ。今日はデートだったの?」と聞いた。あやめが
「いえ、コンペのことで鎌倉の祖父の店に行ってました。」と答えると、北見は驚いた顔で
「鎌倉のおじいさんの店?」と続きを促すように聞くので、
「はい、和菓子屋なんですけど、イートインを始めると叔父から聞いていたので、様子を見に行っていました。」とあやめが言うと、
「そうなんだ。で、どうだった?コンペの題材になりそう?」と北見が聞いた。あやめは、
「そうですね。思ってたよりも良い雰囲気の空間が出来ていましたし、叔父も乗り気なので、一応やってみようかと思っています。」と答えた。北見は嬉しそうに、
「そう、それは良かった。それにしては、何かちょっと疲れてない?」と言った。
「はぁ、まぁ、予想外に祖父の説得とか、接客とかやらされてしまったので…」とあやめが言うと、
「おじいさん反対だったの?」と聞いた。あやめは、叔父が祖父に断り無く勝手に進めてしまっていたので、怒っていたことを説明し、そうとは知らずに叔父にそそのかされて、今日店を訪れた自分が、結局祖父を説得することになったと経緯を説明した。北見は
「どうやって説得したの?」と聞き、あやめが着物を着てお茶を点てたことと、その祖父にせっかくだから客を饗していけと言われてしまい、閉店まで接客させられる羽目になったことを説明すると、
「それは災難だったね。着物で接客してたんだ。」と北見は言った。あやめが、
「着物に合わせて化粧しちゃったので、だいぶ濃いですよね。」と苦笑いをしながら言うと、北見は、
「見たかったな。」と呟いた。あやめは何のことだろうと思い、
「何がですか?」と聞くと、
「着物姿の吉田さん」と微笑んだ。あやめは、このイケメンパワーに押しつぶされそうになりながら、目をつぶって頭を振り、
「いやいや、私の着物姿なんか見たって何も良いことありませんよ。」と笑うと、
「今日のメガネもかわいいけど、着物も似合いそうだよね。」と北見はさらっとあやめを褒めた。あやめは、
「いやいや、北見部長こそ和装も似合いそうです。」と話を北見に向けた。北見は少し考えて、
「着物なんて着ることないからなー。」と言った。あやめは
「まぁ、普通そうですよね。でも、着物はシャキッとして良いですよ。」と答えた。北見は
「よく着るの?」と聞いてきた。あやめは、余計なことを言ってしまったと思いながら、
「よく着るって程ではないですけど…たまに着ます。」と言った。イラスト仲間の間でリクエストされれば着物を着てモデルを引き受けることもあるので、実は結構な頻度で着ているが、北見にそれを教える気はない。北見はフッと笑って
「やっぱり見たいな。吉田さんの着物。今度見せてよ。」と言った。あやめは間髪入れず、
「嫌です。」とはっきり言ってしまった。北見は一瞬驚いた顔をしてから吹き出して、
「吉田さんって、ホント正直者だね。」と笑った。あやめは、これだからイケメンは困ると思いながら、一応上司だったいうことを思い出し、
「すみません。」と謝ると、北見は
「いや、謝らないで。あ、オレ次で下りるんだ。コンペ楽しみにしてるから、頑張ってね。」と言った。次の駅はあやめの自宅のある駅だ。
「ありがとうございます。」と返事をしていると駅に着いた。
「じゃぁ」と手を上げる北見に会釈をして、北見が下りたのを見届けて、慌ててあやめも下りた。
北見は笑ったまま
「良かった。普段と全然雰囲気違うから、確信なくて、もし違ったらどうしようかと思ったよ。」と言った。あやめは、それならしらばっくれれば良かった…と思いながら、
「はぁ、すみません。」と謝った。北見は
「謝ることないよ。ちょっと驚いただけ。今日はデートだったの?」と聞いた。あやめが
「いえ、コンペのことで鎌倉の祖父の店に行ってました。」と答えると、北見は驚いた顔で
「鎌倉のおじいさんの店?」と続きを促すように聞くので、
「はい、和菓子屋なんですけど、イートインを始めると叔父から聞いていたので、様子を見に行っていました。」とあやめが言うと、
「そうなんだ。で、どうだった?コンペの題材になりそう?」と北見が聞いた。あやめは、
「そうですね。思ってたよりも良い雰囲気の空間が出来ていましたし、叔父も乗り気なので、一応やってみようかと思っています。」と答えた。北見は嬉しそうに、
「そう、それは良かった。それにしては、何かちょっと疲れてない?」と言った。
「はぁ、まぁ、予想外に祖父の説得とか、接客とかやらされてしまったので…」とあやめが言うと、
「おじいさん反対だったの?」と聞いた。あやめは、叔父が祖父に断り無く勝手に進めてしまっていたので、怒っていたことを説明し、そうとは知らずに叔父にそそのかされて、今日店を訪れた自分が、結局祖父を説得することになったと経緯を説明した。北見は
「どうやって説得したの?」と聞き、あやめが着物を着てお茶を点てたことと、その祖父にせっかくだから客を饗していけと言われてしまい、閉店まで接客させられる羽目になったことを説明すると、
「それは災難だったね。着物で接客してたんだ。」と北見は言った。あやめが、
「着物に合わせて化粧しちゃったので、だいぶ濃いですよね。」と苦笑いをしながら言うと、北見は、
「見たかったな。」と呟いた。あやめは何のことだろうと思い、
「何がですか?」と聞くと、
「着物姿の吉田さん」と微笑んだ。あやめは、このイケメンパワーに押しつぶされそうになりながら、目をつぶって頭を振り、
「いやいや、私の着物姿なんか見たって何も良いことありませんよ。」と笑うと、
「今日のメガネもかわいいけど、着物も似合いそうだよね。」と北見はさらっとあやめを褒めた。あやめは、
「いやいや、北見部長こそ和装も似合いそうです。」と話を北見に向けた。北見は少し考えて、
「着物なんて着ることないからなー。」と言った。あやめは
「まぁ、普通そうですよね。でも、着物はシャキッとして良いですよ。」と答えた。北見は
「よく着るの?」と聞いてきた。あやめは、余計なことを言ってしまったと思いながら、
「よく着るって程ではないですけど…たまに着ます。」と言った。イラスト仲間の間でリクエストされれば着物を着てモデルを引き受けることもあるので、実は結構な頻度で着ているが、北見にそれを教える気はない。北見はフッと笑って
「やっぱり見たいな。吉田さんの着物。今度見せてよ。」と言った。あやめは間髪入れず、
「嫌です。」とはっきり言ってしまった。北見は一瞬驚いた顔をしてから吹き出して、
「吉田さんって、ホント正直者だね。」と笑った。あやめは、これだからイケメンは困ると思いながら、一応上司だったいうことを思い出し、
「すみません。」と謝ると、北見は
「いや、謝らないで。あ、オレ次で下りるんだ。コンペ楽しみにしてるから、頑張ってね。」と言った。次の駅はあやめの自宅のある駅だ。
「ありがとうございます。」と返事をしていると駅に着いた。
「じゃぁ」と手を上げる北見に会釈をして、北見が下りたのを見届けて、慌ててあやめも下りた。