ハイスペックなイケメン部長はオタク女子に夢中(完)
14.帰りの車
北見の車はシルバーのワンボックスカーだった。少し驚きながら促されて助手席に乗ると、北見が一泊分の荷物を後ろの座席に乗せてくれた。
「予想外でしょ?」と聞かれ、何のことかと思うと車の話で、北見は
「大は小を兼ねるって言うでしょ?ゆったり乗れる方が好きなんだ。」と言った。確かにそういうものなのかもしれない。
「今日は着物着なかったんだね。」と言われ、
「白石さんのお陰で、教室の方がアルバイトで入ってくださることになったので、安心です。」とあやめが答えると、
「ちょっと期待してたのに、吉田さんの着物。」と笑った。あやめは、
「そんなの見ても仕方ないですよ。」と苦笑いを浮かべると、
「オレが来る前、年樹と何話してた?」と北見が言った。何を話していたか思い返し、会社での北見がどうか聞かれて、部署が違うのであまり知らないとあやめが説明すると、
「それだけ?他は?」と聞かれ、
「北見部長がモテるか?と聞かれたので、恐らくそうじゃないかと答えました。」とあやめが答えると、北見は
「モテるって実感ゼロなんだけど…」と言った。あやめは、
「ハイスペック過ぎて、まだ攻略法を見いだせていないんじゃないですかね。」と無意識に呟いた。北見が
「ハイスペック過ぎ?」と面白そうに聞いた。あやめは、また余計なことを口走ってしまったと思いながら、
「イケメンで花形部署で仕事もできる部長なんて、ハイスペック過ぎます。」と説明すると、北見は
「そんな風に思われてるのか。吉田さんも少しはなびいてくれた?」と笑った。あやめが
「私はたまに遠くからご尊顔を拝すぐらいが丁度いいです。」と正直に即答してしまうと、北見は大笑いをして、
「何それ。助手席で笑わせないでよ。」と言った。あやめが反射的に
「助手席に乗っているのは不可抗力です。」と答えると、北見は尚も爆笑していた。
車が自宅近辺に入り、夕食を一緒にという北見の誘いを何とか丁重にお断りしていると、スーパーの駐車場に着いた。これ以上このイケメンと二人で居るのは、精神衛生上良くない。自宅まで送るという北見に、スーパーで買い物をして帰ると断ると、何故か北見も車から下りてきた。
「重たいもの買うなら家の前まで乗せられるよ。」と言われ、あやめは一瞬、水の箱買い!と思ったが、部長にそんなことまでお願いできないと思い返し、
「お気遣いありがとうございます。でも、本当にココで大丈夫ですから。」とあやめが言うと、北見はさも残念そうに、
「そう?この荷物持って買い物行くの?」と後ろの座席から一泊分の荷物と、お土産にと恭子から渡された水谷のお菓子の入った紙袋を出した。荷物の存在を完全に忘れていたあやめは、
「あ…」と声を出した。あやめの様子を見て北見はフッと笑い、荷物を戻し、
「せっかくなんだから、水とかビールとかまとめ買いしとけば?」と言いながらあやめの背中を押して、スーパーへ向かった。
北見の車はシルバーのワンボックスカーだった。少し驚きながら促されて助手席に乗ると、北見が一泊分の荷物を後ろの座席に乗せてくれた。
「予想外でしょ?」と聞かれ、何のことかと思うと車の話で、北見は
「大は小を兼ねるって言うでしょ?ゆったり乗れる方が好きなんだ。」と言った。確かにそういうものなのかもしれない。
「今日は着物着なかったんだね。」と言われ、
「白石さんのお陰で、教室の方がアルバイトで入ってくださることになったので、安心です。」とあやめが答えると、
「ちょっと期待してたのに、吉田さんの着物。」と笑った。あやめは、
「そんなの見ても仕方ないですよ。」と苦笑いを浮かべると、
「オレが来る前、年樹と何話してた?」と北見が言った。何を話していたか思い返し、会社での北見がどうか聞かれて、部署が違うのであまり知らないとあやめが説明すると、
「それだけ?他は?」と聞かれ、
「北見部長がモテるか?と聞かれたので、恐らくそうじゃないかと答えました。」とあやめが答えると、北見は
「モテるって実感ゼロなんだけど…」と言った。あやめは、
「ハイスペック過ぎて、まだ攻略法を見いだせていないんじゃないですかね。」と無意識に呟いた。北見が
「ハイスペック過ぎ?」と面白そうに聞いた。あやめは、また余計なことを口走ってしまったと思いながら、
「イケメンで花形部署で仕事もできる部長なんて、ハイスペック過ぎます。」と説明すると、北見は
「そんな風に思われてるのか。吉田さんも少しはなびいてくれた?」と笑った。あやめが
「私はたまに遠くからご尊顔を拝すぐらいが丁度いいです。」と正直に即答してしまうと、北見は大笑いをして、
「何それ。助手席で笑わせないでよ。」と言った。あやめが反射的に
「助手席に乗っているのは不可抗力です。」と答えると、北見は尚も爆笑していた。
車が自宅近辺に入り、夕食を一緒にという北見の誘いを何とか丁重にお断りしていると、スーパーの駐車場に着いた。これ以上このイケメンと二人で居るのは、精神衛生上良くない。自宅まで送るという北見に、スーパーで買い物をして帰ると断ると、何故か北見も車から下りてきた。
「重たいもの買うなら家の前まで乗せられるよ。」と言われ、あやめは一瞬、水の箱買い!と思ったが、部長にそんなことまでお願いできないと思い返し、
「お気遣いありがとうございます。でも、本当にココで大丈夫ですから。」とあやめが言うと、北見はさも残念そうに、
「そう?この荷物持って買い物行くの?」と後ろの座席から一泊分の荷物と、お土産にと恭子から渡された水谷のお菓子の入った紙袋を出した。荷物の存在を完全に忘れていたあやめは、
「あ…」と声を出した。あやめの様子を見て北見はフッと笑い、荷物を戻し、
「せっかくなんだから、水とかビールとかまとめ買いしとけば?」と言いながらあやめの背中を押して、スーパーへ向かった。