ハイスペックなイケメン部長はオタク女子に夢中(完)
22.白石の企み
二階へ上がると、デジャブかと思う程、この間と同じ顔ぶれが揃っていた。あやめは祖父の隣に座ると、
「で、さっきのあれは一体どういうことなのかしら?説明してもらえます?」と竜二に向かって言った。すると、年樹が
「いやー、あやめさんを巻き込んでしまって本当に申し訳ありません。」と頭を下げた。やはり巻き込まれていたらしいことに表情を歪め、
「橘さんは一体何者なのですか?」と年樹に向かって聞くと、白石が
「さすがに頭の回転が速いねー。」と笑った。年樹も苦笑いを浮かべながら、
「うちの門下生であることは間違いないんだけど、僕も少々手を焼いていてねー。お灸を据えたかったというのが一番なんだけど。」と言った。あやめは大きくため息をついて
「どうして面識のない私にあそこまで敵対視するのか、全く理解できないんですけど」とこぼすと、
「何か言われました?」と年樹が言った。あやめが先程の出来事を話すと、白石は笑いながら、
「実は…うちの親戚にまだ未婚の男性が居てね。ふだんはこっちに居ないんだが、先日一度顔を合わせたらしく、そこで彼を気に入ったらしい。」と話し始めた。あやめは何の話だ?と思いながら聞いていると、
「私も本人さえ良ければと思ったんだが、生憎、本人には全く気がなくてね。」話が全く見えないと思っていると、年樹が
「おやじ、それじゃぁさすがにあやめさんもわからないよ。」と言った。あやめが年樹を見ると、
「実は明日、その親戚をかわいがっている祖父が来る予定なんです。」と言った。あやめは何のことかわからず首をかしげると、
「その祖父に自分の存在をアピールするために、橘さんは明日のお茶会でホスト役をやりたいと言ってきた。オレは橘さんにはまだムリだと思っていて、断ったんだけど、納得してもらえなくてね。」と言った。あやめは、イマイチ理解できないが、
「それであんな風に対決を?」とあやめが聞くと、年樹はバツが悪そうに頷いた。あやめは、思わず、
「でも、それなら最初から、年樹さんがホストをすると言えば良かったんじゃないんですか?」と言った。年樹は気まずそうに
「そうなんだけど、それじゃ橘さんにお灸を据えることにならないからね。」と言った。あやめはまだ何か隠しているな、と思いながら、矛先を変え、
「で、他に何を企んでいるのかしら?竜ちゃん?」と竜二に向かって聞いた。竜二は慌てながら
「何を企むって、べ、別に何も企んでないよ。」と言った。あやめは、冷たい視線を投げて、
「おじいちゃま、さっき明日私には他にやることがあるって言ってましたよね?私は明日何をすればいいのかしら?」と祖父に向って言った。祖父が
「あやめ、そう怒るな。わしたちはお前のことを思って…。」と言うと、竜二が
「おやじ!」と祖父の口を止めた。明日何かを企んでいるのは確かだ。あやめは、
「きちんと全て話していただけないなら、私はこれで失礼します。」と立ち上がった。年樹と竜二は慌てた様子で止めようとしたが、白石はあやめを見て声を上げて笑った。あやめは、白石の様子に
「何がそんなに可笑しいんですか?」と聞くと、白石は
「いやー、悪い悪い。これ以上あやめさんの機嫌を損ねると本当に帰ってしまいそうだ。」と言った。あやめは訳がわからないと思いながらも、一先ずはソファーに座り直した。白石はその様子を見て、
「雅也だよ。」と言った。あやめは雅也って誰だ?と一瞬考えて、一人の顔を思い出し、
「北見部長がどうかしたんですか?」と聞いた。口をはさもうとした年樹を制しながら、白石が続けた。
「橘さんが狙っているのは雅也なんだ。だが、雅也には全くその気がない。それに、わしも雅也に橘さんが合うとは到底思えない。しかし、雅也の祖父は一日でも早く雅也が世帯を持つことを望んでいる。そこへ来て橘さんが父に言い寄れば、恐らく父はすぐに縁談の話を整える。それを避けるために、あやめさんにお手伝い頂きたいんだ。勝手な話で申し訳ないが、雅也も双方からのプレッシャーで困っている。どうか、部長を助けると思って力を貸してくれないか?」白石の話では北見部長が噛んでいるのかどうかはイマイチ掴みきれない。
「私は明日、何をすれば良いのですか?」と白石に聞いた。すると祖父が
「何も大したことはしなくて良い。このあいだと同じように着物を着て、普通にお茶会に参加すれば良い。その後は、客を普通に饗せば良いんだ。」と言った。あやめが、
「それで北見部長を助けることになるの?」と聞くと、
「私はあやめさんが雅也と結婚してくれれば最高だと思っているが、こればっかりは二人の気持ちを差し置いて勝手なことは言えないからね。」途中で年樹が
「親父!」と止めようとしていたが、白石は言った。あやめは、それはないなと思いながらも、
「北見部長と結婚なんて考えられませんが、お茶会に普通に参加して、その後は普通にお客様を饗せば良いのね。わかりました。それならお手伝いします。」とあやめが答えると、年樹と竜二はへ?という顔をした。
「おじいちゃまがそう言うんだから、仕方ないわ。それに、私だって年樹さんの点てるお茶を頂くの楽しみにしてきたんですから。」とあやめは言った。年樹はキレイに微笑んで、
「ありがとうございます。」と言った。
二階へ上がると、デジャブかと思う程、この間と同じ顔ぶれが揃っていた。あやめは祖父の隣に座ると、
「で、さっきのあれは一体どういうことなのかしら?説明してもらえます?」と竜二に向かって言った。すると、年樹が
「いやー、あやめさんを巻き込んでしまって本当に申し訳ありません。」と頭を下げた。やはり巻き込まれていたらしいことに表情を歪め、
「橘さんは一体何者なのですか?」と年樹に向かって聞くと、白石が
「さすがに頭の回転が速いねー。」と笑った。年樹も苦笑いを浮かべながら、
「うちの門下生であることは間違いないんだけど、僕も少々手を焼いていてねー。お灸を据えたかったというのが一番なんだけど。」と言った。あやめは大きくため息をついて
「どうして面識のない私にあそこまで敵対視するのか、全く理解できないんですけど」とこぼすと、
「何か言われました?」と年樹が言った。あやめが先程の出来事を話すと、白石は笑いながら、
「実は…うちの親戚にまだ未婚の男性が居てね。ふだんはこっちに居ないんだが、先日一度顔を合わせたらしく、そこで彼を気に入ったらしい。」と話し始めた。あやめは何の話だ?と思いながら聞いていると、
「私も本人さえ良ければと思ったんだが、生憎、本人には全く気がなくてね。」話が全く見えないと思っていると、年樹が
「おやじ、それじゃぁさすがにあやめさんもわからないよ。」と言った。あやめが年樹を見ると、
「実は明日、その親戚をかわいがっている祖父が来る予定なんです。」と言った。あやめは何のことかわからず首をかしげると、
「その祖父に自分の存在をアピールするために、橘さんは明日のお茶会でホスト役をやりたいと言ってきた。オレは橘さんにはまだムリだと思っていて、断ったんだけど、納得してもらえなくてね。」と言った。あやめは、イマイチ理解できないが、
「それであんな風に対決を?」とあやめが聞くと、年樹はバツが悪そうに頷いた。あやめは、思わず、
「でも、それなら最初から、年樹さんがホストをすると言えば良かったんじゃないんですか?」と言った。年樹は気まずそうに
「そうなんだけど、それじゃ橘さんにお灸を据えることにならないからね。」と言った。あやめはまだ何か隠しているな、と思いながら、矛先を変え、
「で、他に何を企んでいるのかしら?竜ちゃん?」と竜二に向かって聞いた。竜二は慌てながら
「何を企むって、べ、別に何も企んでないよ。」と言った。あやめは、冷たい視線を投げて、
「おじいちゃま、さっき明日私には他にやることがあるって言ってましたよね?私は明日何をすればいいのかしら?」と祖父に向って言った。祖父が
「あやめ、そう怒るな。わしたちはお前のことを思って…。」と言うと、竜二が
「おやじ!」と祖父の口を止めた。明日何かを企んでいるのは確かだ。あやめは、
「きちんと全て話していただけないなら、私はこれで失礼します。」と立ち上がった。年樹と竜二は慌てた様子で止めようとしたが、白石はあやめを見て声を上げて笑った。あやめは、白石の様子に
「何がそんなに可笑しいんですか?」と聞くと、白石は
「いやー、悪い悪い。これ以上あやめさんの機嫌を損ねると本当に帰ってしまいそうだ。」と言った。あやめは訳がわからないと思いながらも、一先ずはソファーに座り直した。白石はその様子を見て、
「雅也だよ。」と言った。あやめは雅也って誰だ?と一瞬考えて、一人の顔を思い出し、
「北見部長がどうかしたんですか?」と聞いた。口をはさもうとした年樹を制しながら、白石が続けた。
「橘さんが狙っているのは雅也なんだ。だが、雅也には全くその気がない。それに、わしも雅也に橘さんが合うとは到底思えない。しかし、雅也の祖父は一日でも早く雅也が世帯を持つことを望んでいる。そこへ来て橘さんが父に言い寄れば、恐らく父はすぐに縁談の話を整える。それを避けるために、あやめさんにお手伝い頂きたいんだ。勝手な話で申し訳ないが、雅也も双方からのプレッシャーで困っている。どうか、部長を助けると思って力を貸してくれないか?」白石の話では北見部長が噛んでいるのかどうかはイマイチ掴みきれない。
「私は明日、何をすれば良いのですか?」と白石に聞いた。すると祖父が
「何も大したことはしなくて良い。このあいだと同じように着物を着て、普通にお茶会に参加すれば良い。その後は、客を普通に饗せば良いんだ。」と言った。あやめが、
「それで北見部長を助けることになるの?」と聞くと、
「私はあやめさんが雅也と結婚してくれれば最高だと思っているが、こればっかりは二人の気持ちを差し置いて勝手なことは言えないからね。」途中で年樹が
「親父!」と止めようとしていたが、白石は言った。あやめは、それはないなと思いながらも、
「北見部長と結婚なんて考えられませんが、お茶会に普通に参加して、その後は普通にお客様を饗せば良いのね。わかりました。それならお手伝いします。」とあやめが答えると、年樹と竜二はへ?という顔をした。
「おじいちゃまがそう言うんだから、仕方ないわ。それに、私だって年樹さんの点てるお茶を頂くの楽しみにしてきたんですから。」とあやめは言った。年樹はキレイに微笑んで、
「ありがとうございます。」と言った。