ハイスペックなイケメン部長はオタク女子に夢中(完)
24.勝手なお願い
どこへ行くのかと思うと、コインパーキングで、先日乗せられたシルバーグレーの車が見えた。
「あの…私、まだお茶会があるので、水谷に戻らないといけないのですが。」とあやめが言うと、北見は、
「わかった。とりあえず、10分で良いから。」と後部座席を開けた。あやめが戸惑っていると、
「その格好で店先で話し込んだら注目集めるから。とりあえず、乗って」と言われ、確かに、今日は着物を着ているので、観光客から注目を浴びることを思い出し、あやめは後部座席に乗った。反対側から同じく隣り合うように後部座席に座った北見に、あやめは驚いたが、
「あの、話って何ですか?」一分でも早くこの状況を抜け出したいために切り出した。北見は
「君がいけないんだ。」と言った。あやめはわけが分からず、
「は?」と答えると、
「君が叔父や叔母の心を掴んでしまうから。」と北見のつぶやきに、
「おっしゃってる意味がよくわからないのですが…。」とあやめが眉間に皺を寄せると、
「今日のお茶会に祖父がお邪魔してるんだ。」と北見が言った。あやめが、
「はい。昨日白石様から伺いました。」と言うと、北見は驚いた顔をして、
「え?おじさんから?他に何か言われてる?」と聞いた。あやめは昨日聞いた橘のことを正直に話した。北見は大きくため息をついて、
「そこまで聞いているのか。じゃぁ、叔父が橘さんじゃなく、吉田さんにお嫁に来て欲しいというのも聞いてる?」と言った。あやめは、
「確かに、昨日そんなことおっしゃっていました。」と答えた。北見は驚いた顔をして、
「大丈夫です。それはありえないってちゃんとお伝えしています。」とあやめが言うと、北見はフッと笑って、
「オレの結婚騒動に巻き込まれてるって自覚あるんだ。」と言った。あやめは
「そうですね。知らない間に巻き込まれているみたいですね。」と笑った。北見は、
「悪いんだけど、このまま巻き込まれたふりを続けてくれないか?」と言った。あやめが
「え?」と聞き返すと、
「吉田さんにその気がないのはわかっているけど、祖父はかなり厄介でね。ひ孫が見たいとうるさいんだ。オレに相手がいないとわかっているから、ムリに縁談を整えようとしている節があってね。橘さんは、この間、水谷の内偵に来た時にオレを見かけて気に入ったらしくて、年樹にオレを紹介してくれとうるさく言ってるらしい。オレは全く興味ないんだけど、橘さんはこの界隈では有名なお宅の娘さんらしくってさ。祖父が興味をもったみたいで…。このままだと強制的に見合いさせられそうで困ってるんだ。」と北見は言った。「何か大変そうですね…」とあやめが呟くと、北見はニヤッと笑って、
「お願い。今だけで良いからオレと付き合ってるフリしてくれない?」と言った。
「は?無理です。」とあやめが即答すると、北見は笑って、
「そう言うと思った。そこを何とか、お願い。」と言った。あやめは、
「北見部長、よく考えて下さい。私を彼女だなんて紹介したら、それこそさっさと結婚しろって話になると思いません?」と言った。北見は
「やっぱり吉田さんって頭の回転速いよね。」と笑った。あやめは、この人は一体何を言ってるんだ?と思っていると、
「そうなれば良いなってオレは思ってるけど。」と北見が続けた。
「何がですか?」とあやめは意味がわからずに聞き返すと、北見は腕時計を見て、
「そろそろ10分だね。戻らないと。」と言ってドアを開けた。あやめが
「え?」と言って北見を見ると、
「それとも、このまま連れ帰っても良いの?」とニヤッと笑って言った。あやめは慌てて車を降りたが、
「でも、まだ話が途中じゃ…?」とあやめが言うと、
「確かに、吉田さんの立場を考えると、彼女のフリはお願いできないから、正直に祖父に話すよ。」と言って、北見は水谷に向って歩きだした。
どこへ行くのかと思うと、コインパーキングで、先日乗せられたシルバーグレーの車が見えた。
「あの…私、まだお茶会があるので、水谷に戻らないといけないのですが。」とあやめが言うと、北見は、
「わかった。とりあえず、10分で良いから。」と後部座席を開けた。あやめが戸惑っていると、
「その格好で店先で話し込んだら注目集めるから。とりあえず、乗って」と言われ、確かに、今日は着物を着ているので、観光客から注目を浴びることを思い出し、あやめは後部座席に乗った。反対側から同じく隣り合うように後部座席に座った北見に、あやめは驚いたが、
「あの、話って何ですか?」一分でも早くこの状況を抜け出したいために切り出した。北見は
「君がいけないんだ。」と言った。あやめはわけが分からず、
「は?」と答えると、
「君が叔父や叔母の心を掴んでしまうから。」と北見のつぶやきに、
「おっしゃってる意味がよくわからないのですが…。」とあやめが眉間に皺を寄せると、
「今日のお茶会に祖父がお邪魔してるんだ。」と北見が言った。あやめが、
「はい。昨日白石様から伺いました。」と言うと、北見は驚いた顔をして、
「え?おじさんから?他に何か言われてる?」と聞いた。あやめは昨日聞いた橘のことを正直に話した。北見は大きくため息をついて、
「そこまで聞いているのか。じゃぁ、叔父が橘さんじゃなく、吉田さんにお嫁に来て欲しいというのも聞いてる?」と言った。あやめは、
「確かに、昨日そんなことおっしゃっていました。」と答えた。北見は驚いた顔をして、
「大丈夫です。それはありえないってちゃんとお伝えしています。」とあやめが言うと、北見はフッと笑って、
「オレの結婚騒動に巻き込まれてるって自覚あるんだ。」と言った。あやめは
「そうですね。知らない間に巻き込まれているみたいですね。」と笑った。北見は、
「悪いんだけど、このまま巻き込まれたふりを続けてくれないか?」と言った。あやめが
「え?」と聞き返すと、
「吉田さんにその気がないのはわかっているけど、祖父はかなり厄介でね。ひ孫が見たいとうるさいんだ。オレに相手がいないとわかっているから、ムリに縁談を整えようとしている節があってね。橘さんは、この間、水谷の内偵に来た時にオレを見かけて気に入ったらしくて、年樹にオレを紹介してくれとうるさく言ってるらしい。オレは全く興味ないんだけど、橘さんはこの界隈では有名なお宅の娘さんらしくってさ。祖父が興味をもったみたいで…。このままだと強制的に見合いさせられそうで困ってるんだ。」と北見は言った。「何か大変そうですね…」とあやめが呟くと、北見はニヤッと笑って、
「お願い。今だけで良いからオレと付き合ってるフリしてくれない?」と言った。
「は?無理です。」とあやめが即答すると、北見は笑って、
「そう言うと思った。そこを何とか、お願い。」と言った。あやめは、
「北見部長、よく考えて下さい。私を彼女だなんて紹介したら、それこそさっさと結婚しろって話になると思いません?」と言った。北見は
「やっぱり吉田さんって頭の回転速いよね。」と笑った。あやめは、この人は一体何を言ってるんだ?と思っていると、
「そうなれば良いなってオレは思ってるけど。」と北見が続けた。
「何がですか?」とあやめは意味がわからずに聞き返すと、北見は腕時計を見て、
「そろそろ10分だね。戻らないと。」と言ってドアを開けた。あやめが
「え?」と言って北見を見ると、
「それとも、このまま連れ帰っても良いの?」とニヤッと笑って言った。あやめは慌てて車を降りたが、
「でも、まだ話が途中じゃ…?」とあやめが言うと、
「確かに、吉田さんの立場を考えると、彼女のフリはお願いできないから、正直に祖父に話すよ。」と言って、北見は水谷に向って歩きだした。