ハイスペックなイケメン部長はオタク女子に夢中(完)
5. 鎌倉へ
週末、あやめは、朝から髪をゆるく編み込み、グレーのニットアンサンブルにお気に入りの辛子色のボックススカートを合わせ、薄手の茶色のハーフコート、足元には歩きやすい焦げ茶色のショートブーツを履き、赤茶色のフレームのUVメガネをかけ、小さめのショルダーバッグに財布と携帯だけを入れて、鎌倉へ向かった。電車に揺られ、鎌倉に着くと、ひとまず「水谷」を訪ねた。大通りから一本脇に入った筋にある「水谷」は、地元では有名なお店で、週末のお店は中々繁盛していた。一般客に混じってそっと店内に入ると、
「いらっしゃいませ。」とアルバイトであろうレジの女の子が声をかけた。勝手知ったる叔父の店を、ぐるっと一周りし、紅葉の練りきりや栗のお菓子が並んでいるのを眺め、もうこんな季節なんだなーとあやめは思った。お気に入りの栗きんつばを購入し、レジの女の子に
「中で食べたいんですが」と告げると、少し驚いた表情をして
「そちらからどうぞ」と店奥の引き戸を指した。戸を引いて奥へ入ると、あやめが想像していたよりも素敵な空間が完成していた。職人が作っている奥の工場が窓越しに覗けるようになっていて、お茶席のような畳敷のベンチが3台並んでいる。中庭に出られるようになっていて、中庭の奥にも大きな和傘の下に一台ベンチが設けられていた。入ってすぐの左手に菓子皿と懐紙、楊枝が、その隣には無料のサーバーが置いてあり、セルフでお茶やコーヒー、水が飲めるようになっている。あやめは買ったきんつばを懐紙を敷いた菓子皿にのせ、ベンチに置くと、サーバーで暖かいほうじ茶を入れ、一息ついた。ほうじ茶を啜りながら、こういう雰囲気ならお抹茶かお煎茶だよなーと思いながらサーバーを見つめ、ま、これが限界かな、と思い、栗きんつばを楊枝で切って口に運んだ。んー、やっぱり、おじいちゃんの栗きんつば最高!と思いながら咀嚼していると、ガラガラっと店舗の引き戸が開いた。
週末、あやめは、朝から髪をゆるく編み込み、グレーのニットアンサンブルにお気に入りの辛子色のボックススカートを合わせ、薄手の茶色のハーフコート、足元には歩きやすい焦げ茶色のショートブーツを履き、赤茶色のフレームのUVメガネをかけ、小さめのショルダーバッグに財布と携帯だけを入れて、鎌倉へ向かった。電車に揺られ、鎌倉に着くと、ひとまず「水谷」を訪ねた。大通りから一本脇に入った筋にある「水谷」は、地元では有名なお店で、週末のお店は中々繁盛していた。一般客に混じってそっと店内に入ると、
「いらっしゃいませ。」とアルバイトであろうレジの女の子が声をかけた。勝手知ったる叔父の店を、ぐるっと一周りし、紅葉の練りきりや栗のお菓子が並んでいるのを眺め、もうこんな季節なんだなーとあやめは思った。お気に入りの栗きんつばを購入し、レジの女の子に
「中で食べたいんですが」と告げると、少し驚いた表情をして
「そちらからどうぞ」と店奥の引き戸を指した。戸を引いて奥へ入ると、あやめが想像していたよりも素敵な空間が完成していた。職人が作っている奥の工場が窓越しに覗けるようになっていて、お茶席のような畳敷のベンチが3台並んでいる。中庭に出られるようになっていて、中庭の奥にも大きな和傘の下に一台ベンチが設けられていた。入ってすぐの左手に菓子皿と懐紙、楊枝が、その隣には無料のサーバーが置いてあり、セルフでお茶やコーヒー、水が飲めるようになっている。あやめは買ったきんつばを懐紙を敷いた菓子皿にのせ、ベンチに置くと、サーバーで暖かいほうじ茶を入れ、一息ついた。ほうじ茶を啜りながら、こういう雰囲気ならお抹茶かお煎茶だよなーと思いながらサーバーを見つめ、ま、これが限界かな、と思い、栗きんつばを楊枝で切って口に運んだ。んー、やっぱり、おじいちゃんの栗きんつば最高!と思いながら咀嚼していると、ガラガラっと店舗の引き戸が開いた。