前略、さよなら
沈黙をどうとらえたのか
陽はそう付け加えて笑った。
誰も言葉を発さなかった。
私も固まっていた。
陽もようやく自分の言葉の
及ぼした影響力に気がついて
笑うのをやめた。
「・・・・・・あれ?
僕なんか変なこと言った?」
最初にフリーズから解けたのは
梨花だった。
「いやいやいや
なに言ってんの?」
「なにって」
「ないでしょ、そんなの」
梨花が苦笑いしながら言っても
陽の真剣な表情は崩れなかった。
陽はこっちを見た。
まっすぐな子供みたいな丸い瞳。
未だにおばけを
宇宙人を
サンタクロースを
その目に映すことが出来そうな
あの頃の瞳。
いつも迷いも戸惑いも
なさそうなその目が
そのときだけは縋るように
憂いを帯びて見えた。