しあわせ食堂の異世界ご飯3
「私は夕飯まで部屋でのんびりしようかね」
「そうですね。シャルルは裏庭で鍛錬してるし……私ものんびりしようかな」
「ああ、それがいいよ。何かあればカミルに買い物を頼めばいいさ」
 そう言って、エマが外は寒いからねと笑う。
 カミルは今も仕入れのため市場に行っているので、さすがにこれ以上何かを頼むのは気が引ける。
(とはいえ、頼みたいものは特にいないから――ん?)
 アリアとエマが笑いながら話していると、ドアを小さくノックする音が店内に響いた。
「はーい、どうぞ……って、リズちゃんじゃない」
 ドアを開けるとすぐに、リズがアリアの胸に飛び込んできた。
「アリアお姉さま! やっと、お父さまから料理を教えてもらってもいいという許可をいただきました!」
「えぇ!?」
 ここ数日姿を見せないと思っていたら、本当にアリアの弟子になるためにこっそり動いていたらしい。
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