しあわせ食堂の異世界ご飯3
「こっちのだし巻き卵は、三種類の昆布のだしで味をつけてるんですよ。大根おろしに醤油をかけて一緒に食べると美味しいです」
「なるほど……こっちのご飯はなんだ?」
「お茶漬けです。冷たいご飯の上に焼いた鮭を載せて、お茶をかけてます」
「……お茶を?」
「はい。お茶です」
 リントが思わず反芻してしまったのも仕方がないだろう。お粥や雑炊ならあるけれど、ご飯にお茶をかけて食べる料理なんて聞いたことがないからだ。
「さらっと食べれるので、騙されたと思ってまずは一口!」
「別にアリアの料理を疑うわけじゃないが……」
 おそるおそるといった様子で、リントがスプーンでお茶漬けをすくう。
 ご飯にも何か工夫がしてあるのだろうか? そう思ったけれど、本当になんの変哲もない白飯のようだ。
 ……お茶の香りはいいけれど……ご飯と一緒に食べたことはない。
 鮭の切り身とご飯とお茶。
 リントはそれを一気に口へ含む。
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