バツイチ彼に告白したら、予想外に溺愛されて困惑しています。
「じゃあ行こうか。」

困った風でも、ましてや嬉しそうでもない淡々とした表情の紅林さんは、私に告げるとさっさと歩き出した。
私は慌てて半歩後ろをついていくけど、歩幅の狭い私は時々ちょっと小走りになったりして、紅林さんを見失わないようにと必死だ。
繁華街で人通りも多く、信号が変わると同時に前からも後ろからもどっと人の波が押し寄せる。

急に紅林さんが振り返り、ついて歩くことに集中していた私はびっくりして何もないところで躓いた。
瞬間、「大丈夫?」と腕を支えられる。

「ごめん、歩くの早かったな。」

「大丈夫です。ありがとうございます。」

紅林さんが今までになく近くて、ふわっといい香りが鼻をくすぐる。
何か香水でも付けているのかな?
しかも気遣ってくれたことに更に心臓が跳ね上がる。

優しい。
やっぱり好きだなぁ。

私の胸はドキドキドキドキと、音が聞こえてしまうのではないかと思うほど激しく打っていた。
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