夜のしめやかな願い
「そうか」
重い沈黙が漂って、さゆりは居心地悪く身動きをした。
「演奏会、来てくれてたんだ」
宗臣は薄く嘲笑を浮かべた。
少し沈黙になる。
「そろそろ貸した金を返してもらおうかと思って」
「お金?」
「俺が日本から去ったことをいいことに、踏み倒す気だったか?」
はっきりとした嘲笑になる。
「そんなわけないでしょ。
ちゃんと毎月、口座に入金しています」
さゆりはむっとして言い返した。