夜のしめやかな願い
「よかった。
宗忠を今度、行かせるから渡してくれ」
さゆりは口を開きかけて、閉じた。
「うん、わかった」
「用件はそれだけだ。
世話になったな、行ってくれ」
宗臣は顔を正面に戻すと目を閉じた。
はっきりと拒否する空気に、どうしようもなくてさゆりは立ち上がった。
「じゃあ・・」
無言のままでは去れなくて、さゆりは呟いてから廊下に出た。
後ろで引き戸が自動的に閉まって、ぱたんと乾いた音がする。