夜のしめやかな願い

        *

宗臣に決定的に断絶された次の日は、アルバイトの日だった。

バーの雰囲気もあるレストランでBGMとして演奏するのだ。

あくまでもBGMだから、主張しちゃいけない。

単に小さく弾くだけでは音がぼんやりとしてしまうため、一音一音には気を遣う。

食事している客の反応をそれとなく気にしていると、宗忠がいるのに気が付いた。

しかも女性連れだ。

演奏の切れ間で宗忠が女性を連れてやってきた。

「さゆりちゃん、お久しぶり。
 またバイオリンの腕を上げたね」
「お久しぶりです。
 ありがとうございます」

さゆりは慎み深く微笑を返した。

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