森の妖精と団長さん



私がいた静かな森から一歩踏み出せば、こんな街があったなんて知らなかったし、1日ってこんなに短かったかと思ったぐらい。


日が傾き始め、暗くなる前に小屋に戻り、テーブルに座る。
物心ついた頃からずっといたこの場所も、セアによって整えられていたものだった。


私が困らないようにと最低限のものは揃えてあった。

そして、私がずっと、ひたすら読んでいた本
これはセアが持ってきた、あの屋敷にあったジル様の…私のお父様のもの。


お父様の大切にしていた本をロイドに奪われないよう、この小屋に置いたらしい。



本を1つ1つ眺めながら、覚えているはずのないお父様を探す。


そして、たくさんかけられている私の小さい頃からの服

リーサ様…私のお母様が作ったもの。
お母様は裁縫が得意で、小さい頃に私の成長を想像して今着ているワンピースなど、数着作っていた。


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