森の妖精と団長さん



『リーサ!街へ行ってくるよ!』


『あんまり遅くならないでくださいね!』


ジルは頻繁に街に出かけては、主に薬草の採取に明け暮れ、街の薬師たちも同行することが多かった。



『お母様、お父様はまたどっか行っちゃったの…?』



『シキ…お父さんはね、困ってる人を助けるためにお出かけしてるの。シキもお兄ちゃんになったんだから、エマを守ってあげて?』


リーサの腕に抱かれている生まれたばかりの赤ちゃん

シキは恐る恐る手を伸ばすと、エマが指を掴みニコニコと笑った。



『!!お母様!エマが笑ったよ!!…僕、エマをずっと守る!』

『逞しいわねシキ』


それから2人はすくすくと元気に成長し、エマが生まれて3年後





『え!?お父様とお母様が!?』

自室で本を読んでいたシキに訃報が伝えられた。
使用人たちは落ち着きを隠せず、シキもショックで呆然とした。




『おかーさま、おとーさま?…おにーさまどうしたの?』

次の日になっても、2人は帰ってくるはずもない。


エマが辺りをキョロキョロして探している。

『どうすれば…』


当時8歳のシキにはどうすることもできなかった。


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