ぼくらは最期まで最初の恋をする
前日練習を終えて、家に帰ると、姉ちゃんが走ってきた。
「悠斗、いよいよ明日が決勝戦だね。」
「ああ、絶対優勝して良いとこ見せてやるからな!」
「頑張んなよ!明日は咲と応援行くから!」
「なっ、姉ちゃんと咲が一緒に来るとかからかわれる気しかしねーんだけど!」
「まあ、優勝したら邪魔しないであげるから」
そんな会話をして、部屋に戻りベットに寝転がる。と、
「!?」
またもや突然、頭に鋭い痛みが走り声も出せなくなった。身動きも取れず、そのまま頭を抑える。
数分後、ようやく痛みが落ち着きなんとか体をベットに起こす。
「なんなんだよ、これ…」
明日の決勝では痛まないことだけを願いながら、咲に貰ったお守りを手に取り、強く握った。
「頼む、咲…」
そして、そのまま眠りについた。
次の日、試合会場には宣言通り姉ちゃんと咲がいた。
「お、悠斗、彼女見に来てんぞ」
「うっせ、彼女じゃねーから!」
横からつついてくる瑛太の頭をたたくと、爆笑しながら逃げていった。
でも、そんなことをしていられたのも短い間だった。試合開始直前、みんなの緊張はマックスに達し、チームは静まり返っていた。
このままの雰囲気だとまずい。そうは分かっているものの、うまい言葉が見つからない。
その時、応援席から聞きなれた声が響いた。