ぼくらは最期まで最初の恋をする


目まぐるしく過ぎた1日も終わり、今日の授業で先生に指された回数は3回で、答えられなかった回数も3回。


さすがに情けないけど、放課後になれば俺の独壇場だ!


「瑛太!早く部活行くぞ!」


「お前はその体力をもう少し授業に回したらどうだ…?」


苦笑いで呟く瑛太を引きずって校庭へ向かう。


練習着に着替え、キャップを被るとスパイクに履き替え、グローブをはめた。


右手に握るボールの感触。俺が1番しっくりくる感触だ。


「瑛太!キャッチボールしようぜ!」


「おー!」


俺はピッチャーで、瑛太はキャッチャー。俺達は黄金バッテリーなんて呼ばれていて、県内じゃそうそう勝てるやつはいない。


自信過剰に思われるかもしれないけど、これでもプロ野球選手を目指している。それぐらい、野球に全部をかけて生活してきた。


高校は、部活の推薦で県外の野球の名門校への入学がほぼきまったから、こんなに毎日咲と会えるのはもうあと1年もないことになる。


だから、俺は決めたんだ。今回の大会、俺達3年生にとっての最後の大会に優勝したら、俺は咲に告白する。
どうせ離れ離れになってしまうのなら、ハッキリさせておきたいんだ。


俺が咲にとってただの幼なじみなのか、それ以上になれるのか。


「おい、悠斗!キャッチボールするんだろ?」


「悪い、今いく!」


そのためには、ごちゃごちゃ考える前に優勝しないとな!
練習だ!
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