ぼくらは最期まで最初の恋をする
別に、幼なじみという今までの関係が不満なわけじゃないから、1歩踏み出す勇気はなかった。
だから、今日も私は君の隣で笑っていたいなと思う。君の笑顔のそばにいられるだけで、充分すぎるぐらい幸せだ。
「おはよー!」
「彩!おはよう!」
教室には、いつも通り早起きの彩がいた。小学校の時からの大親友で中学校も一緒。3年生で一緒のクラスになれるなんて奇跡だよ。
「今日も悠斗くんと登校?うらやましいじゃん!」
「あぁ…全然だよ。今日は担がれてきたし」
「担がれた!?相変わらずめちゃくちゃだね、あいつ」
さっぱりした性格の彩は、いつも正直な言葉を伝えてくれるから一緒にいて楽なんだ。
話して、授業受けて、いつの間にか放課後…
私は一応、生徒会役員をやっているから、部活には所属していない。正直、部活に入っても参加できる機会が中々ないんだ。
でも今日は、珍しく仕事がなかったから、悠斗の部活を少しだけ覗いてみる。
「バッチこーい!」
叫んでいるのは悠斗じゃない。だって悠斗はピッチャーだから。ボールを投げている時の悠斗は、ゾッとするほど集中している。
そう、思わず引いてしまうような圧倒的な存在感。グラウンドにいるときの悠斗は、まるで別人みたいにかっこいい。
でも、見てるの見つかると怒られちゃうからなぁ。そろそろ帰らないと。