冬の魔法
向かった先は、魔法図書館。ここに、美影がいるような気がしたからだ。
ドアを開けると、魔法を使って空を飛んでいる美影が居た。
「あれ?若竹さんだ!おいでよ、楽しいよ」
「美影!なんで…私に話しかけるの!?」
私の目の前で、ゆっくりと着地した美影は少し考えた後、話を始めた。
「なんでかな…僕自身、良く分からないんだ」
「良く分からないって…」
「そう。分からないの」と呟いた美影は、私の手をぐいっと掴むと魔法をかけた。瞬間、私の体が宙に浮く。
「何するの!!」
「空を飛ぶのは、楽しいよ…ねぇ、若竹さん?悩み事があったら、僕に話してくれてもいいんだよ」
何を言っているのか分からず、空に浮いたまま固まってしまった。
「若竹さん、いつも苦しそうな顔をしてるから」
美影は、はにかみながらそう言った。その笑顔は、心の底から安心出来るもので、少し嬉しくなっている自分が居る。そんな自分に腹を立てた。
「…美影には、関係ない」
そう言い残して、テレポート魔法を使い、教室に向かった。