敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「はあ……」


秘書室はいつの間にかみんな出払っていて、同行を割り振られなかった私は今日は一日中デスクワーク漬けだ。

最近では専務や常務が商談で海外へ行った際、クライアントに招かれたパーティで話すスピーチ原稿の依頼を受けることが多くなっている。

商談では英語などの共通言語で行われることが多いけど、パーティでのスピーチは先方の国の言葉を使う方が好印象を与えることが多いし、さらには文化や歴史を踏まえた上でユーモアを交えるというのは難しいけどポイントが高いので取り入れている。

けれど言い回しは合っているのかと不安になる言語も多いので、相当な気も使うし頭もフル回転させるため時間がかかるのだ。


「ダメだ……。集中しなきゃ……」


提出期限まではまだかなりあるけれど、集中しなければ出来ないものなので静まり返った今がいい機会なんだけど。

集中しようと思っても、室長のことがチラチラと頭を過り中々進まない。

どうしても考えてしまうのは仕方がない、と半ば諦め気味にコーヒーでも飲もうと席を立つ。

給湯室へ向かおうとすると、社長室から佐伯さんが出てきてエレベーターホールの前で鉢合わせた。

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