敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「すみません、私帰ります。お大事にしてください」
「……薬は?」
「え?」
「暁斗から、水と、俺によく効く薬が届くと聞いてる」
「く、薬……?」
社長から託されたのはウォーターサーバーの件だけだ。
薬とは何のことなんだろう。社長が私に言うのを忘れただけなのかも。
「すみません、お薬のことは伺ってなかったんですが」
「……ふーん。先に水が来て、後から薬が行くから、って……。ああ、そうか……」
そう言って室長は腑に落ちたという顔をするけど、私の方はさっぱり事情がわかっておらず。
「あの、お薬のこと、わかったんですか?」
「まあ……わかったかな」
「……そうですか。じゃあ、私はこれで……」
「帰るの?まだ薬もらってないけど」
「でも私本当に渡されていなくて……」
「君でしょ」
「はい?」
「だから、暁斗の言ってる”薬“って君のことなんじゃないの」
「え……?」
何だかよくわからない話になってきた。
なのに室長はいたって真顔で、私が薬とかいう謎な話に疑問すら湧かないといった様子だ。