敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「病院は行った。インフルエンザではなかった。熱はその時38度ぐらいだった」
「お薬もらいましたか?」
「もらった。もう飲んだ」
「そうなんですね。じゃあ……食欲はありますか?」
「ある……ような、ないような……」
「お粥とか胃に優しそうなものならどうですか?」
「粥って……あのドロドロの米?」
「ドロドロの米……。まあ、そうです。たっぷりのお水でコトコト煮たお米です。食べたことありますか?」
「……ない、と思う」
お粥のことをあまり知らなそうだったので、先日聞いた複雑なご家庭の事情が頭に浮かんだ。
おでこに手を当てて熱を計ってもらったことがないのなら、お粥を作ってもらったこともないのかもと思い、何となくお粥について詳しく説明してしまった。
「よかったら私、作りますよ?」
「……作れるの?」
「作れますよ……!私、意外と出来る方だと思いますよ。看護師の母と二人暮らしで、食事の用意は私がすることも多いので」
「そうか……。じゃあ、お願いするかな……」
「はい、任せてください!」
要らないって言われるかと思ったけど、お願いすると言われたのが嬉しくて、つい意気込んだ返事をしてしまった。
そして室長はそんな私を見て、一瞬目を丸くしたけれど。