敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「楽しみにしてる。冷蔵庫の中の物も、何でも自由に使っていいから。いずれ、君の家になるかもしれないんだし」
「っ……」
「じゃ、俺は少し横になるよ。頭がボーッとしてきた」
私を惑わすような台詞を流暢に並べ、柔らかな笑みを携えて室長はこう言うと、そっと私の頭を撫でてリビングの奥に見える寝室へと向かう。
そしてそんな風に頭を撫でられた私としてはもうお約束と言わんばかりに胸の鼓動が速くなっていて。
もうホント、部屋着だろうとやつれていようと、とにかく室長がカッコよく見えてしまってドキドキし過ぎるから甘やかさないでほしい。
「あ……、ベッドまで一緒に行きますよ」
寝室へ向かう室長だけど、その後ろ姿はやはり足元が覚束ないように見えるのでお節介かもしれないと思いつつ、室長の腕を掴んで支えるように寄り添った。
「やっぱりふらふらしてますよ?」
「……そう、なのか?まっすぐ歩いてるつもりなのにな」
リビングの奥にある寝室のドアは開いていて、室長を支えながら中へ入ると、やっぱりここもベッドぐらいしかないシンプルなものだった。
ベッドはダブルよりも広そうなのでキングサイズかもしれないけど、室長は背も高いしやはり男の人なので広すぎでもないのか。
「大丈夫ですか?」
「……わからない。とりあえず頭の中が熱くなってる気がする」
「たぶん熱上がってきてるんですね。水分もちゃんと摂らないと」
少し浅い呼吸を繰返しながらベッドへ潜り込むと、室長は息苦しさを和らげようとしたのか深いため息をつく。
それをベッドの脇から見ていた私は、眠りの邪魔になるのでリビングへ戻ろうとしたけれど。
室長の熱の籠った大きな手に、ぐっと右手を掴まれ引き留められ、驚いてベッドに横たわる室長へ目を向ける。
すると真摯な眼差しで私を見つめる室長と目が合って。