敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「暁斗くんと薫くんは、ブサイクだったらよかったのにね」
そう言って俺達の会話を聞いて辟易しているのは従兄弟の櫂と棗だ。
こいつらは俺達の母の兄の息子で、従兄弟にあたる訳だが家業を継ぐという選択肢を捨て、自分達の店を持つという念願を叶えたばかり。
ハイクラスの客を狙ったコンセプトのこのバーは、お世辞じゃないが雰囲気も良く客付きも上々で、成功していると言っていいだろう。
「まあもう少し醜かったら違う人生だったかもしれないね。女の子もそんなに寄って来ないだろうし」
「そうか?結局女なんて金と地位に惹かれてるだけだろ?俺達の顔はオプションにすぎない」
「ははっ、今日の薫は毒舌だねえ」
「違うよ暁斗くん。今日も、だよ」
母方の実家とは疎遠だが、櫂と棗は複雑な事情を知った上でこうして俺達を慕ってくれているので、俺も暁斗も彼らには気を許して付き合っている。
何も気遣うことなく悪態をついて、心地よく酔えるこの時間が俺は好きだった。