敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

ただ能力は平凡だが、それを自覚し、努力を怠らない姿勢は高く評価している。

彼女がほぼ全ての社内語学講座に積極的に参加していると、人事部長からお褒めの言葉をいただいたことから影で努力をしていると知ったのだが、今の専務の話ではどうやらその成果が実を結んだのだろう。

容姿は誰からも好まれるような愛らしい顔立ちで、小柄だが女性らしい体つきは男なら誰でも目につくはずだ。

このまま努力を続けていけば平凡から脱却して優秀な秘書へと成長するに違いない。

ただ、彼女はいつも表情が堅い。
もちろん彼女の遥か上を行くほど表情に乏しい俺が言うのもなんだが、そこが彼女の惜しいところだと思っていたが。

専務に褒められ、堅いなりににこやかに笑う彼女。
そして専務の姿が執務室に消えるまで、お手本のようなお辞儀を続ける。

扉が閉まり彼女が一人きりになったので、専務に用があったが話の邪魔になるからと足を止めていた俺も歩を進めようとした、その時。


「やったー!褒められちゃったよー!」


両手で口を押さえ、全身で嬉しさを表現するかのようにピョンピョン飛び跳ねながら小声で喜ぶ彼女。
それを見て一歩踏み出そうとしていた足を慌てて止める俺。

いつもすました顔をしている彼女が、まるで子供のようにはしゃぐ姿を見て一瞬驚いたが、呆気にとられるより微笑ましいと感じている自分に対しての驚きの方が大きかった。
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