敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
何しろ幸せな家庭に触れたことがない俺達には結婚、つまり生涯の伴侶を見つけるということが到底越えられないとさえ思えるほどに高いハードルだった。
それなりに安らげる相手じゃなければ外に癒しを求めてしまう。それなら父親と同じ道を歩んでしまうからだ。
「金も地位もなくても、俺の顔がどれだけ醜くても俺がいい、なんていう子はいない気がする。少なくともこれまではいなかったな」
「俺は付き合ったことさえない」
「お前はね、まずは二回目会ってもいいかなって思える子を作るところから始めないと」
「面倒くさい」
「じゃあ神田さんは?お前が可愛いなんて思うんだから貴重だろ」
「……彼女はダメだ」
「何で?」
「近くに居すぎる。それに仕事もこれから充実してくるだろうし。何よりきっと他に男がいるだろ」
「そんなの奪っちゃえばいいじゃん」
「そこまでするほど彼女のことは知らないからな。それよりお前の方だろ。社長になったら見合いの話が山ほど来るぞ」
「あー、それね。ホント勘弁してほしいよ」
社長就任を控えた暁斗は当然だが、おそらく俺にも見合いの話は来るだろう。
それが断れる話ならいいが、断れないのなら自分の意思で決められないことになる。
見合い相手によっては、結婚するなら満たされた家庭を築きたいという俺達の目標達成が困難になってしまう。
自分で相手を探すのも困難、かといって見合いでゴリ押しされるのも気が向かないという、順調な仕事とは裏腹に女性絡みのプライベートは先行きが不透明で、ため息は深くなるばかりだった。