敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
どうも彼女の前で調子が狂うことが多くなってきている気がする。彼女のペースに乗せられている、ということなんだろうか。
彼女の子供はそばにいてもらえるとかなんだとか、かなり甘えたような台詞も吐いた気がするし。
自分のテリトリーは侵されたくなくて楽な付き合い方ばかりしてきたが、彼女が俺の世界に入ってくるのは嫌じゃないというのは、やはり俺の気持ちが彼女に傾きかけているせいなのか。
「何度あります?」
「……37.3度……。微妙だな」
「お薬が切れたらまた上がりますかね……。今のうちにお粥食べてみませんか?」
「もう作ってあるのか?」
「いえ、準備だけしてあります。30分ぐらいかかりますけど……」
「ああ、構わない」
「わかりました、少し待っててくださいね」
そう言って彼女はスッと立ち上がり、いそいそとキッチンへ向かう。
で、リビングに一人残された俺はただ黙って待っていたらいいのだろうが、やはり手持ち無沙汰になり彼女の様子を見にいくことにした。
「もう出来た?」
「わ、びっくりした……。もうすぐです。お腹減っちゃいましたか?」
「いや、君が料理してるところ見たくなって」
「え。何ですかそのプレッシャー。大丈夫ですよ。お粥を不味く作るの結構難しいと思うので」
そう言ってふふっと柔らかく微笑む姿を見ると、やはり心が和らぐ。
イライラしている時にこの笑顔を見ればきっと落ち着くことができるのだろう。