敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「たぶん君に欲情した時に名前で呼んでる気がする。今、無性にキスしたい」
「えっ」
「大丈夫、今はしない。風邪がうつるだろ」
こうして隣に立って、人に話したことがなかった自分の身の上話をしていると、改めて彼女は特別だと思い知らされ、ついムラっと来てしまったが。
俺としては今はできないというのは当然の答えなのだが、こう言うと彼女は微妙な表情を浮かべている。
それがまた俺を誘うかのように見えて気分がいい。
「そんなにガッカリしなくても風邪が治ったら嫌というほどしてやるよ」
「なっ……!」
「はは、そんなに喜ぶな」
「よっ、喜んでません!」
「嘘言うな。尻尾振ってるのが見えてるぞ」
「振ってません!っていうか尻尾なんてないですから!」
そう言いつつも耳が真っ赤になっているのが見えてとりあえず俺はまた満足している。
こうして他の誰かの行動で気分が左右されるというのは新鮮な感覚だ。