敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「だ、だめ……、待って」
「嫌? やめる?」
「い、嫌とかじゃ、ないん……ですけど……」
「ふ、嫌じゃないのか」
「っ……」
「……じゃあ何、場所がダメ? このフロア俺の部屋しかないから誰も来ないぞ」
「は……、それだけ、じゃ、ないですけど……」
夢中で求めてしまったが、息も絶え絶えの彼女の姿にやっと我に返る俺。
見境なさすぎだろ。冷静になれよ自分。
「……悪い。でも君がキスしてきたのも悪い」
「ご、ごめんなさい。その、ちょっとだけキス、したかっただけなんです……。なのにこんな濃いのとか……。ドキドキしすぎて息が苦しいです……」
「確かに……年甲斐もなくがっつきすぎだな……」
「あの、ホントに嫌とかじゃないんです。何ていうか、私の経験不足というか。室長が、凄すぎて……」
「はは、凄すぎてって言うのは褒め言葉にしておくよ」
唇は解放したが、身体はまだ密着したまま。
彼女のしなやかな肢体が俺の身体に絡み付いて、欲情を煽り続けている。
それでも頬を上気させ、目が潤んでいる彼女の様子からしてこのまま続行は難しそうだ。
やむなく身体も解放すると彼女は、はあ、と息を整えるが、少し寂しげな感じにも見える。
「エレベーター、行っちゃいましたね……」
「ああ。そうだな」
彼女と戯れている間にエレベーターは誰も乗せずに扉を締めて消え去っていた。