敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「……私は、嬉しかったですよ。あんな風に怒ってくれるなんて思ってなかったので」

「君がそう思ってくれてるならいいが……。そういやあれから彼と話した?」

「いえ、話してません」

「……そうか。それならいい」


そう言って室長は満足げに微笑み、目を閉じる。

それならいいって、独占欲みたいで素直に嬉しい。

意図して言ってるのか素なのかそこはよくわからないけど、室長って『恋愛』というものには長けてないというか、どこか天然っぽい気がする。

私はそんな室長に無駄に騒がされた気持ちを鎮めることに集中しているけど、室長は目を閉じたまま。

お疲れだから眠いのかなあ、と思い寝やすいように繋いでいる手をそっとほどこうと絡まる指を開いてみるけど。


「……何、嫌だった……?」

「いえ、寝るのに邪魔かと……」

「君が良ければこのままがいい……。落ち着く……」

「わ、わかりました……」

「悪い……。君に会ったら急に眠気が……。かなり寝不足なんだ俺……」

「どうぞ……。お、お休みなさい……ませ?」

「ふ……なんだそれ……。でも、少し寝させて……」


目を閉じたまま、室長は軽く笑ってそう言うとそのまま寝入ってしまったようだった。

その無防備な寝顔がまた可愛くて心臓に悪い。

いろんな顔を見せて私の胸をときめかせているのは間違いなく室長の方だと思った。
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