敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~


「俺、新幹線で爆睡したの初めてかもしれない」

「そうなんですか? 気持ち良さそうに寝てましたよ。たまに寝言も言ってて可愛かったです」

「は……? 寝言……?」


そう言って室長は眉間に皺を寄せて信じられないとでも言いたげな目を向けてくる。

寝言なんて勿論ウソだ。
それに私も室長の寝顔を見ているうちに寝てしまい、目が覚めたのは室長が目を覚ますほんの少し前だったし。


「ふふっ、嘘ですよ。寝言なんて言ってないと思いますよ。と言っても私も寝ちゃったのでわかりませんけど」

「なんだ嘘か……。君の名前とか呼んでたのかと思った」

「わ、私の名前なんて出るはずないと思いますけど」

「そうかな。俺、最近君のこと考えてる時間多いよ」

「え? そ、そうなんですか?」

「ああ。まあ8割方間違っても口にできない卑猥な妄想だけどね」

「なっ……」

「ははっ、冗談だ。君は何でも真に受けるところが可愛いね」

「っ……」


なんだろう、ものすごくラブラブで甘い空気が漂ってる気がしてドキドキしかしない。

それに可愛い可愛いと言われるたび、自分は室長みたいな男性からそう思われるほど可愛いんだと錯覚しそうだ。

室長もお疲れ気味の顔はどこへやら、無表情とはほど遠いリラックスした無邪気にも思える笑顔を振りまいている。
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