敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
車内ではずっと手を繋いでいて、新幹線を降りてからも接する距離が近いし、とにかく積極的に触れてくる室長に翻弄されっぱなしだ。
「会食の時間まで少しあるけど、とりあえずホテルに荷物置きに行こうか」
「はい」
タクシーに乗り込み、予約を入れてあるホテルへと向かう。
室長から聞いたところでは、会食は18時からで気心の知れた会長とそのお孫さんがいらっしゃるとのこと。
仕事というよりプライベートと考えていいとのことなので緊張はさほどしていない。
ただそれよりも室長と一緒にこうして過ごしている方がよっぽど緊張してしまう。
「えっ……、どうして……」
ホテルに着き、チェックインしようとフロントへ向かった室長だけど、少し時間がかかっていたので何かあったかと気にはなっていたけれど。
私が予約したのは二部屋。
社長と室長が宿泊することを想定して、予約は確かに入れたはず。
それは間違いないと思うのに。
いま私と室長がいる部屋は広々とした空間に大きなベッドがどーんと置かれ、調度品はソファやテーブル、壁紙に至るまでハイセンスな趣の代物ばかりでただただ圧倒されてしまう。
窓から見える景色は高層階ということもあり夜景が美しく映えるであろうことは容易に想像できた。
つまり、出張のために私が予約したはずの部屋ではないことが明らかなのだ。