敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「あ、あの……。私、まさか予約を間違って……?」


部屋の入り口で茫然とする私を尻目に室長は荷物を置き、慣れた様子でコートを脱ぐとゆっくりと私の方へ近付いて距離を縮めてくる。


「間違ってないよ」

「じゃあこの部屋は……」

「ああ。君が予約した部屋は俺がキャンセルした」

「そ、それはなぜ……?」


こんなことを訊いたけど、本当は答えをわかっている気がする。

ただ、そうあってほしいという私の願望が室長に答えを言ってほしいと望んでる。


「俺と君で二部屋取っていても、一部屋しか使わないとわかっているからさ。それは、君もわかってるはずだけど……?」

「っ……」


室長から私が望んだ通りの答えがほしい。

そんな私の心の中を見透かすように室長がクスッと笑うと、途端に顔も体も火照っていく。

笑みを浮かべた室長の後ろには大きなベッドがあり、今夜はここで過ごすんだと考えただけでクラクラしそうだ。


「本当はスイートでも、と思ったんだが生憎これぐらいしか空いてなかった」

「このお部屋だってすごく素敵です……!私、こんなお部屋泊まったことないです」

「そう? それならよかった。まあ、何かと“最初”が肝心だからね」

「そっ、そうですね……」


ああ、もう本当に心臓が壊れそう。
こんなにはっきり、今夜の『予定』を聞かされてしまうと落ち着くなんて絶対無理だ。
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