敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「室長って……、女の人を口説く時いつもこんな感じなんですか?」
「いや。というか口説いたことがない」
室長はきっぱりと言い切ったけど、バーで慣れた様子で見知らぬ女性と親しげにキスした現場を見ている私には全く信憑性がない。
「この期に及んでなぜそんな嘘を」
「嘘じゃない。俺からは口説いたことはない。向こうが勝手に来るんだ。俺は受け身だよ」
受け身ならいくら誘いを受けても問題ないとでも言いたげな口調でこう答える室長だけど、私にするみたいに室長の方から口説いたのかと思っていたからこれは意外だった。
「そうなんですか? なんか今みたいな感じで落としてきたんだ思いました」
「落とすって……。まあ自分からは行かないかな。こんなに俺から迫るなんて君が初めてだよ」
「え……。ま、またそんな……」
「……本当だよ。自分から誘ったりなんてしたことなかったから勝手がわからないというか。だからもし強引だったらごめん」
そう言って室長は苦笑いしながら私を見つめる。
強気で攻めてくるくせに強引だったらごめんとか、緩急つけすぎ。可愛すぎなんですが。
ホント天然なのかな。
恋愛慣れしてない感がすごい。
「で、どうする? 会食まで少し時間あるけど」
「そうですね……。どうしましょう……」
ほんの数時間空いたところで行きたい所があるわけでもない。
なのでどうするかは室長に決めてもらいたくて、無意識に室長を見上げると必然的に目が合って。