敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「何、俺が決めていいの?」

「はい。私、下調べもなにもしてなくて」

「俺に決めさせたら君は困るだろうから訊いたのに」


スケジュールでも確認しているのか、室長はカバンから手帳を取り出すと時計に目を向ける。


「私が困るって……」

「俺は会食は取り止めて君とベッドの中で過ごす。それ一択なんだけど」


室長はまるで仕事の話でもするかのように真顔でそう話すけど、シリアスな表情と内容が全く噛み合っていなくてツッコミたくなる。


「も、もうそんなことばっかり言って……! すっぽかす気なんかないですよね?」

「いや、あるよ。会食なんて面倒だから行きたくない。それより君とセックスしてたい」

「我がままな……!子供じゃないんですから……!」


社内ではその無表情ぶりから仕事人間とも思われている室長が、こんな子供みたいなことを言うだなんてきっと誰も知らない。

こんな一面を見せてくれるのは、私に気を許してくれてるから、と自惚れてもいいのかな。


「ははっ、君も中々折れないね。仕方ない、お楽しみは後に取っておくか」

「お楽しみとか、そういう言い方オジサンっぽいですよ」

「33なんて君からしたらオジサンだろ」

「室長はオジサンには見えませんよ。でも話すとたまにオジサンです」

「何だそれ微妙だな。喜んでいいのか?」

「いいと思いますよ。だって社内の皆は室長とこんな会話しないから中身がオジサンだなんてわからないですもん」

「ますます微妙だ……」


そう言って難しい顔をしているのがまた面白くて笑いが込み上げてくる。
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