敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「……でさ、もしよかったら今度飲みに行かない?ゆっくり話したいなあ、と思ってまして」
「……うん、そうだね……。あんまり話す機会なかったもんね。……今度、ぜひ」
私には断る理由もありそうにないのでそう答えると、阪井くんはあからさまに嬉しそうな顔をして拳を握って小さくガッツポーズをした。
そんな風に素直に喜ばれると、当然こちらも悪い気はしない。
「じゃあ、また今度」
「うん」
「てゆーか、神田さん置いてかれてるけど平気?」
「え、あ、みんな行っちゃってる!」
二人で話し込んでいたので周りの状況が読めていなかったらしく、私はすっかり置いてかれてしまったみたいだ。
阪井くんといたから彼と一緒に来ると思われたのかもしれない。
「店わかる?送るよ?」
「あっ、ううん、たぶんわかると思う。大丈夫だよ、ここから近かったはずだし。阪井くん明日早いんでしょ?」
「うん、まあそうだけど……。じゃあ俺はここで……」
そう言って阪井くんはにこっと笑って私に手を振るので、私も振り返したけれど。
ふと、頭をよぎるフラれた理由の作り笑い。
私は今、ちゃんと笑えてるのかな。
ぎこちないとか、嘘くさいとか思われてないかな。
室長は自然体の表情がいいって言ってくれたけど。
フラれたダメージなんてないかと思ってたのに。
なんだ、私ってば結構傷付いてたんだーーーー