敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「そうか……。神田さんはどうなんじゃ、薫くんは嫌か?」
「いえ、私のような者では室長のお相手には不足かと」
これはある意味本心だ。室長なら落とせない女性はいないだろうし。
「そんなことなかろう! さっきから見とったが女性らしい仕草が本当に可愛らしい。秘書なんぞやっておったら声もかけられるじゃろ? 玉の輿は狙っとらんのか?」
会長は、目が落ちそうなほど丸く見開き、やや前のめりで興奮ぎみに問いかけてくる。
お顔は既に真っ赤になっていて、ペースも早いのでかなり酔いが回っているご様子だ。
「玉の輿は……正直に言いますと狙いたいと思っていた時期はあります」
「ほう、正直者じゃな」
感心したように大きく頷く会長だけれど、玉の輿狙いだなんて本来は全く感心してもらえるものではないような。
「ですが、今は秘書の仕事にやりがいを感じています。以前は外見を磨くことに注力していましたが、今は内面をーー、仕事に役立つスキルを身に付けたいと思い、日々室長を始め先輩方を見習い勉強中です」
語学に力を入れ始めてから、評価されることも多くなりやりがいを感じているのは本当だ。
今は外見を褒められるより、仕事を評価され、期待されることの方がずっと嬉しいと感じるようになっていた。