敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「彼女には主に翻訳関係の仕事をお願いしています。重役からの評価も高く、責任感も強いので期待しているんです」


表情を和らげそう話す室長。
こんな風に誉めてもらえるとは思っていなかった私としては、泣きたくなるほど嬉しい言葉だ。


「神田さんは、留学の経験がおありなんですか?」


アイドル顔負けのキラキラした笑顔を浮かべて常務が訊いてくる。

このキラキラ感は社長にも通じるものだけど、この方の場合はピュアな感じがして、年上の女性に好かれそうな雰囲気を醸し出している。


「いえ、お恥ずかしいんですが、本格的に頑張り始めたのは社会人になってからなんです。それも自己流とか、社内の語学講座を受けるぐらいで……」


こういう時、学生の頃から打ち込めるものがあったらよかったのにと思う。

語学は確かに自分なりに努力はしていたけれど、学生の頃はどこかふわふわしながら過ごしていたから胸を張ってこんなことをしてきた、と誇れるものが何もないのだ。
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