敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「……東京に戻ったら、君の家に行くよ」
「え?」
「一度君のお母さんにご挨拶に伺った方がいいだろう?」
そう言って私に同意を求めるかのような目を向ける室長。
突然の申し出に、そんなことを言ってもらえるとは思っていない私としては茫然とするしかなくて。
「もう他のやつ、探さないんだろ?」
「は、はい……そうなんですけど……」
他の人を探さない、つまりは室長と交わした約束通り、私は本物の婚約者になるのだ。
「室長は、本当に私でいいんですか……?」
もう何度目かになる質問。
だけど何度確認しても不安で仕方がない。
はっきりした言葉も約束も貰ったわけではないし、何より室長の気持ちがわからない。
だから、急に「やっぱやめた」なんてことも十分ある気がして。
「君がいい。今はそう思うよ」
「え……」
「それに、ダメなら君を連れてこんなところまで来ないし、観覧車なんか乗らないよ」
室長はそう言って意味ありげに口の端を上げて笑う。
エレベーターが到着すると室長は私に先に乗り込むように促し、ボタンを押して扉を閉める。